日本の皮革技術をリードする NPO法人 日本皮革技術協会

仕上げの種類

1) 溶剤仕上げと水性仕上げ

仕上げ剤の溶媒として一般的に溶剤を使用するが、近年の環境問題から溶剤の使用を最小限にする方法、あるいは水を溶媒として使用する方法がある。前者を溶剤仕上げ、後者を水性仕上げという。

2) 素上げ、染料仕上げ、顔料仕上げ(塗膜の透明度による分類)

素上げ:ほとんど塗装を施していないような仕上げ方法。革の上に軽く染料を塗布したり、感触を改良するワックスやオイル、シリコンを塗布したり、フッ素等の撥水剤を使用したりする。

アニリン仕上げ:銀面の模様を残すため透明な塗膜の仕上げを行う方法。カゼイン等のタンパク質系のバインダーを主とする。通常グレードの高い高級革に使用する。

セミアニリン仕上げ:顔料も使用するが、染料で透明感を付与する仕上げで、アニリン仕上げに近い雰囲気を持った仕上げ方法。

顔料仕上げ:顔料を多く用いて仕上げる方法。無機顔料の多い不透明仕上げ剤を使用し塗膜も厚くする。傷などは隠れやすい。有機顔料の方が塗膜の透明性が高い。

コレクト仕上げ:銀剥き仕上げともいう。革の銀面をサンドペーパーで削り、その上に熱可塑性の樹脂を塗布、毛シボ等を施して仕上げる方法。

ツートン仕上げ:2色以上の染料や顔料でコントラストをとった仕上げ方法。

アンチック仕上げ:

クラック仕上げ:

発泡仕上げ:

イージケア仕上げ:

ファンシー仕上げ:

3) 機械的な種類

グレージング仕上げ:通常高級な革の仕上げに行われるが、カゼインやワックスなどを革に塗布し、グレージングマシンという棒状のガラス玉で革の表面を擦って艶を出す仕上げ方法。蛇やトカゲなどの爬虫類の革にもよく適応される。

プレート仕上げ:平滑な表面をえるためアイロンで熱と圧力を革表面に与え表面を平らにして艶を出して仕上げる方法。

型押し仕上げ:いろいろな型板を用い、熱と圧力をかけて革に模様をつける仕上げ方法。

スプレー仕上げ:ほとんどの革はスプレーを用いて塗装を施して仕上げるが、これらの方法の総称となっている。

手塗り仕上げ:テレンプ゚と称される布を板に貼り付けたものを用いて手で塗料を塗布する。多量の塗装を要求する床革の仕上げ方法に多く適用される。下塗り工程等にも行なわれる方法である。

ロールコーテイング仕上げ:円柱形の金属ロールの表面にメッシュを切り込み、ベルトコンベアー上に乗せた革を、この金属ロールとコンベアー下のゴムロールで挟みながら通過させることで、革の表面に塗料を塗布する方法。

カーテンコート仕上げ:多量の塗料を均一に革上に塗布する機械を用いて仕上げする。

フイルム仕上げ:銀面をサンドペーパーで削り、種々の模様や色調のフイルムを貼付ける方法。

空打ち仕上げ:

 

4) 仕上げ剤による種類

カゼイン仕上げ:カゼインというタンパク質を主原料とし、それにワックスやオイルなどを加えたカゼイン仕上げ剤を中心にした仕上げ法。基本的にはポリマー樹脂は使用しない。高級革に対して行うが、耐水性、染色摩擦堅ろう度に乏しい

バインダー仕上げ:最も一般的な仕上げ法で、染料や顔料の着色剤と熱可塑性のポリマー(アクリル系、ブタジエン系、ポリウレタン系)をバインダーとして使用する。

ニトリセルロース仕上げ:俗にラッカー仕上げという。ニトロセルロース(硝化綿)を原料として作られたラッカー仕上げの最終塗膜として使用する方法。非常に薄い塗膜を形成し高光沢が得られ、物理的強度も強い。

CAB(セルロールエステル)仕上げ:セルロースアセトブチレートと呼ばれるセルロースを酢酸とブチル酸で変性させたものを使用する仕上げ方法で、前記より日光堅牢性が強い

ポリウレタン仕上げ:最終の塗装にポリウレタン樹脂が使用される仕上げをいう。日光堅牢性、形状変化等に強い。自動車用や家具用革によく使用される。

エナメル仕上げ:パテント仕上げとも呼ばれ、ポリウレタンの一種を使用する仕上げで、非常に高い光沢が得られる。

PAGETOP
Copyright © NPO法人 日本皮革技術協会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.