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「日本エコレザー」の対象革

日本エコレザー「ラベル」の対象革

認定対象は“皮膚断面繊維構造を損なわない革”に限られます。

革は、古来より各種動物の肉(食料)の副産物として出てくる原料皮を鞣し・加工し、利用されてきました。革づくり工程では、銀面を生かした銀付き革が最高の品位とされます。工程中で皮膚断面が分割され、銀面層を失ったものは床革として再利用されます。

日本エコレザー「ラベル」の対象革は、再利用においても革の機能を損なわないことが大前提となっています。そのための最低条件として、次の2つの条件を満たすものとなります。

① 銀面を有する銀付き革、または革繊維構造を損なわない(粉砕などしない)銀付き革の副生物である床革であること。
② 仕上げ・塗装膜厚が0.15mm(150μm)以下であり、かつ断面構造の70%以上が革であること。

このことから、JESラベル対象革を第一類、第二類、第三類の3種類に分類しています。

“第一類”(主たる家畜動物の原料皮を鞣し銀付革)
主たる家畜動物のうち、野生動物のウエイトが相対的に低く、一般に食用に供される動物のうち、牛、馬、豚、羊、山羊の5種の原料皮を加工した銀付き革を“第一類”としています。

“第一類”の定義
第一類の定義は、下記の条件を満たしたもの。
1)皮膚断面繊維構造(銀面層、網状層)を損なっていない銀付きのもの
2)鞣し加工が行われたもの
3)仕上げ・塗装膜厚が0.15mm以下のもの
4)断面構造の70%以上が革であるもの

銀付き革・Full grain leather 、ガラス張り革・Corrected grain leather(銀面の傷などを削ることによって平らにし、塗装し易くしたもの)が代表
スプレー、ロールコート、ラミネート、キャスト、エナメル塗装などで仕上げ・塗装を行ったラミネート革・Laminated leather、キャストコート革・Cast coat finish leather、エナメル革・Patent leather など
仕上げ・塗装の上にさらに、模様付けした型押し革・Embossed leather、プリント革・Printed finish leather など
銀面を起毛加工した伝統的なヌバック・Nubuck
銀面が付いた状態のスエード・Suede
なお、英国規格(BS)2780 では、仕上げ・塗装膜厚が0.15mm を超え、革厚が1/3 以内のものを肉厚エナメル革・Patent coated leather と別に定めていますが、仕上げ・塗装膜厚が0.15mm を超えているので認定対象革から除外しています。

“第二類”(製革工程で排出された肉面側の残革を再利用した床革)
“第一または第三類”の革を層状に分割したときに生ずる肉面側の残革を再利用した床革・Split leatherを “第二類”とします。

付記:“第二類”の定義
第二類の定義は、下記の条件を満たしたもの。
1)床革であるもの
2)仕上げ・塗装膜厚が0.15mm以下であるもの
3)断面構造の70%以上が革であるもの

床革には多様な仕上げ法があり、表示名称を厳格にする必要があります。
起毛を長くした床ベロア・Split velour
起毛を短くしたものを床スエード・Split suede
“第一類”の銀付き革に近似させるために、床表面にフイルムを積層したもの、あるいは塗装したものなどの加工床革としては、ラミネート床革・Laminated split leather、キャストコート床革・Cast coat finish split leather、エナメル床革・Patent split leatherなど
表面に模様付けした型押し革・Embossed split leather、プリント革・Printed finish split leather など
ラミネート床革に型押した型押しラミネート床革・Embossed laminated split leather。
“第一類”の呼称には、革・leatherの前に、“床・split”の呼称を必ず付ける必要があります。“第一類”に近似させるために加工しているため、“第一類”との判別が極めて難しく、表示などで問題となりやすい。

床革の判定は、触感や目視で判定できない場合はISO 17186 に準拠して顕微鏡による革断面繊維構造の観察や仕上げ・塗装膜厚の測定によって決める必要があります。

なお、ラミネート床革は、BS 2780 の定義に従うと、床革が50%以上、仕上げ・塗装膜厚が50%以下とし、仕上げ・塗装膜特性を重視した合成材料まで含むとしています。本件では、仕上げ・塗装膜厚が0.15mm 以下であり、なおかつ断面構造の70%以上が革であることを満足しなければならないので、BS2780 の定義には従っていません。

“第三類”(取引証明書を必要とする各種動物革)
第一類及び第二類以外の革、すなわち、野生動物または養殖動物で取引証明書等のあるもの等を“第三類”(各種動物革)としました。

1)絶滅のおそれのある野生動物で商取引証明書等のある、例えば、オーストリッチ、ワニ、トカゲ、ヘビ、などの原料皮を鞣した各種動物革が属します。また、これら動物が養殖されていたことを証明できるものはこの範疇に属します。
2)一定地域に過剰に繁殖した野生動物で商取引証明書等が発行されている、例えば、カンガルー、鹿などの原料皮を鞣した各種動物革が属します。また、これら動物が養殖されていたことを証明できるものはこの範疇に属します。
3)その他、適法に捕獲、処分、取引されていると認められるもの。

“第三類”の定義
自然環境の保護、生態系維持のため国際的に、あるいは国、自治体などが野生動物の処分を許可したもの、あるいは野生動物を養殖し、取引証明等が発行されたものが認定対象となります。
例えば、オーストラリア政府は、カンガルー皮の輸出許可書、同様にCITES 事務局では、原産地証明書や輸出許可書を発行しています。また、魚類の皮など適法に取引されているものもこの範疇に入ります。

“皮膚断面繊維構造を有していないもの”はエコレザーと考えません。すなわち、再生革・コンポジットレザー・レザーボード・リサイクルレザーなどと呼ばれる革繊維を合成樹脂に練り込んだものや、合成皮革・人工皮革は認定対象外になります。一般消費者に誤解や混同を与えぬよう明確に区別する必要があります。

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