理事長挨拶
昭和20年代、関西と関東にそれぞれ存在した皮革研究会が統合され、昭和30(1955)年5月、国内唯一の皮革専門学術団体として日本皮革技術協会が発足しました。平成22(2010)年には特定非営利活動法人へ移行し、令和7(2025)年に70周年を迎えます。
発足以来、当協会は皮革産業の技術的支柱として活動を続け、皮革科学の進歩に寄与し、産学官の連携を深めながら、研究成果の共有を通じて業界の技術水準向上に貢献してまいりました。しかし近年、環境規制の強化、消費者嗜好の変化、新素材の台頭、グローバル市場の競争激化など、皮革産業を取り巻く環境は大きく変化し、新たな課題が生じています。
最盛期には正会員500名以上、賛助会員150社以上を擁していましたが、現在は名誉会員・正会員83名、学生会員1名、賛助会員83社と縮小傾向にあります。このような状況下で、会費収入の減少や事務所経費の増加により、協会の事業も見直しを迫られています。その一環として、機関誌『皮革科学』の冊子発行を終了し、より迅速かつ柔軟な情報発信を目指し、デジタル化を推進いたします。また、『レザーインフォーメーション』を新たな情報発信の場として活用し、最新技術や情報の共有を図ります。
さらに、70年間蓄積された「日本皮革技術協会誌」「皮革化学」「皮革科学」「皮革技術」などの文献・技術情報をデジタル化し、会員の皆様に閲覧いただける環境を整備してまいります。同時に、若手人材の育成にも力を入れ、講習会や研究発表の機会を充実させ、国内外の技術者・研究者との交流をさらに促進していく所存です。
わが国唯一の皮革学術団体として、今後も技術的な支柱としての役割を果たし続けます。皮革産業の未来を支えるため、会員の皆様と共に技術の継承と発展に努めてまいります。変化の時代にあっても、技術を守り、育み、次世代へとつなぐことが私たちの使命です。引き続き、皆様のご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
特定非営利活動法人 日本皮革技術協会
理事長 吉村圭司
日本の皮革技術をリードする
日本皮革技術協会(JALT)の使命
私たちの生活の中には、靴やバッグ、財布、家具など、多くの革製品が存在しています。
皮革の利用は人類の歴史とともに始まりました。原始時代には、動物の皮を衣類や防寒具、住居の材料として使用し、次第に加工技術が発展しました。その長い歴史の中で、皮革技術も進化を続け、現代では高度な加工技術により、多様な製品が生み出されています。
皮革は、主にウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタなど、食肉や乳製品を生産するために飼養される家畜から生まれます。食肉産業が続く限り、皮は必ず発生し、天然資源として有効活用することが可能です。食肉の副産物として生まれる皮革は、環境負荷を抑えた持続可能な資源といえます。
日本皮革技術協会は、昭和30年の設立以来、皮革に関する基礎研究、皮革製造技術の向上、コラーゲン・ゼラチンの利用研究を進めるとともに、皮革産業の広報活動を行ってきました。70年にわたり、産・学・官が連携した活動を推進し、日本の皮革産業の発展に寄与してまいりました。
今後も、日本の皮革産業の発展を支えるべく、技術革新と情報発信に努め、持続可能な産業の確立に貢献してまいります。
皮革技術のあゆみ
革とともに歩む
はじまり
昭和24年7月に関西皮革研究会は「亜硫酸パルプ廃液鞣剤」の実用化を研究するための小委員会を設置して、皮革産業に対する研究をスタートしました。一方、関東でも研究グループがあり、それぞれの立場で活動していました。
この2つの東西の研究会が合併して、わが国唯一の皮革に関する学術団体として日本皮革技術協会が発足しました。昭和30年5月28日に創立総会が東京都立工業奨励館において開催されました。
NPO法人への移行と創立60周年
平成22年4月には特定非営利活動法人日本皮革技術協会に移行し、平成28年には創立60周年を迎えることができました。
昭和37年5月18日は学術団体として指定されました。
平成29年1月11日に創立60周年記念祝賀会を盛大に開催することができました。
創立当初の会員数は303名、賛助会員は32名でした。最盛期には、正会員500人以上、賛助会員が150社以上ありましたが、現在の会員数は正会員及び名誉会員が128名、賛助会員が62社と規模は縮小しておりますが、事業活動は年々活発になっております。
わが国で唯一の皮革に関する学術団体として、長い歴史をもつ日本皮革技術協会は、我が国の皮革関連産業の発展を期するためにも、無くてはならない組織であります。
当協会を今後も継続させていくためには、皆様方の暖かいご支援と活躍を強く望みます。
刊行物のあゆみ
本協会は「日本皮革技術協会誌」の創刊号を昭和30年10月に発行し、皮革に関する研究成果や海外の状況など情報を発信してきました。現在は「皮革科学」と名称を変えましたが、機関誌の発行を継続し、業界の方々や多くの会員に愛読されております。
そのほか、これまで「革および革製品用語辞典」「日英中皮革用語辞典」「基礎皮革科学」「皮革科学」「総合皮革科学」「新版皮革科学」「皮革ハンドブック」を発行してきました。平成28年6月には「皮革用語辞典」を発行しました。これらは、皮革産業に係る方々に愛読されています。
研究活動とさまざまな事業活動
研究活動として、毎年6月に総会と皮革に関する研究発表会を開催しています。また、国際皮革化学者・技術者会議(IULTCS)ならびにアジア国際皮革化学技術会議(AICLST)にも積極的に参画しており、アジアの会議は日本でも3回開催いたしました。2014年に岡山市で開催した第10回アジア国際皮革科学技術会議では、平成27年度に日本政府観光局(JNTO)から、国際会議開催の部で表彰を受けました。
JIS、ISO及びCENのメンバーとしても活動しており、皮革に関する規格の制定に関与しております。
人材育成事業として「皮革に関する講習会・講演会」を年間2~3回全国各地で開催しております。また、皮革製品の啓発活動として種々展示会への出展なども行っています。
調査・研究事業として、昭和48年から現在に至るまで経済産業省の支援により、産学官共同研究システムのもとで研究開発実用化事業を展開しています。最近では「環境対応革開発実用化事業」に取り組み、環境及び人にやさしい革作りを目指しています。
協会概要
会社名 | 特定非営利活動法人 日本皮革技術協会 (皮技協) |
英文社名 | NPO Japanese Association of Leather Technology (JALT) |
設立 | 昭和30年5月30日 日本皮革技術協会として発足 平成21年10月 特定非営利活動法人日本皮革技術協会設立 |
所在地 | 〒670‐0817 兵庫県姫路市梅ヶ枝町882 イトーピア野里311 |
TEL /FAX | 079-284-5899 |
事業内容 | 1)皮革・皮革製品製造技術・品質管理技術等の開発実用化事業 2)皮革技術に関する研究発表会、シンポジウム、講習会等の開催事業 3)皮革技術に関する資格基準の策定、公表、及び資格認定事業 4)皮革技術に関する機関誌、出版物等の作成、刊行事業 5)その他目的を達成するために必要な事業 事業年度 4月1日~3月31日 通常総会 開催月:6月 関東地区または関西地区 |
役員 | 理事長: 吉村圭司/一般社団法人日本皮革産業連合会 副理事長:稲次俊敬/一般財団法人日本皮革研究所 副理事長:角田由美子/昭和女子大学 理 事: 野村義宏/東京農工大学 理 事: 原田修/公益財団法人新産業創造研究機構 理 事: 西野佳伸/株式会社ニシノレザー 理 事: 大形公紀/一般財団法人日本皮革研究所 理 事: 片野一徳/有限会社丸ヨ片野製鞄所 理 事: 森脇繁行/一般社団法人日本タンナーズ協会 理 事: 塩田和也/株式会社山陽 理 事: 高瀬和弥/東京都立皮革技術センター 監 事: 寺嶋眞理子/元東京都立皮革技術センター 監 事: 村井大輔/株式会社消費科学研究所 |
会員 | 正会員 当法人の目的に賛同して入会した個人及び団体(年会費7,000円) 賛助会員 当法人の目的に賛同し援助するために入会した個人及び団体(年会費25,000円/口数1口以上) 学生会員 当法人の目的に賛同して入会した学生(年会費3,500円) 名誉会員 当法人に特に功労のあった者の中で、総会の承認を得た個人 |